第86章 一晩付き合ってくれ

「500万だと? 正気かよ!」杉浦正弘の声が、いきなり跳ね上がった。

会社にはまだ数千万の穴が空いている。どこから杉浦杏奈に500万なんて用意しろっていうんだ。

そのとき、ドアが押し開けられ、藤原智彦が入ってきた。

杉浦杏奈を視界に捉えた瞬間、喉仏がごくりと動く。視線は露骨に熱を帯びた。

「藤原家が500万、払う。問題ない」

あのビキニ写真を見たときから、後悔していた。

杉浦杏奈のほうが綺麗で、スタイルも良くて、頭も切れる。なのに、どうして当時の自分は、子どもが産めない杉浦美雪なんかに目を奪われたのか――自分でも分からない。

粘つくような視線に、杏奈は舌先を強く噛んだ。痛みで、...

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